飛行中、沙耶を見つける一夏
その目が嫉妬で赤く光り、巻き起こした風で沙耶を吹き飛ばす
車に撥ねられそうになる沙耶
正気に返った一夏は逆方向からの風を吹かせて、間一髪で事故は免れる
しかし、自分の中の禍々しい心に気づいて、震えが止まらなくなる
ここのシーンは今見ると、コンテでのカットの練り込みが甘いと感じます
反省するべき点ですね
まぁ、それはそれとして・・・
ここで、一夏が起こした風で、バイクを倒すカットを入れています
風の勢いがどのくらいなのか、視聴者に感じて貰うために作ったカットですが、映像演出ではこのように、リアクションを拾うのはとても重要です
何かが起こった時、その何かを一所懸命に描くのも重要ですが、それによって引き起こされる現象(リアクション)をきちんと描く事の方が、何倍も重要だったりします
例えば「天空の城 ラピュタ」
ラピュタから落ちてきたロボットが出す光線
これはただの、何の変哲もない透過光の細いビームなのに、厚い鉄板が溶けたり、大爆発を起こしたりすることで、凄いエネルギーであるように見せています
ドラゴンボールなどでも、悟空が放つパンチが相手に当たると、相手が地面を削りながら吹っ飛んで、ついには山が崩れ去ったり・・という描写で、悟空の強さや相手の強大さを表現しています
これが、一度作り手側に回ると、アクションの方に力を入れすぎてしまう事の方が多いんですね
つまり、つい悟空のパンチをいかに格好良く描くか・・ということにエネルギーを使ってしまって、肝心のリアクションの方がおざなりになるケースが多いということです
例えば手前奥にグワングワン回り込みながら、格好良く撃たれるロボットのビーム砲・・みたいなものって良くありますよね
視聴者もつい目を奪われるものの、その格好良さに見合うリアクションが描かれない・・といったことを、皆さんも、感じる事があるのではないでしょうか。
結局、そのビームが凄かったのかどうか皮膚感覚で分からないので、肩すかしを食うわけですね。
格好いいアクションを描けば描くほど、それに釣り合う(視聴者が納得する)リアクションをちゃんと描く事が必要になるということです。
また、このバランスをあえて崩すテクニックも有って・・
アクションの方をあっさり描いておいて、リアクションを思いっきり派手にすると、視聴者に驚愕を与える事が出来ます
その落差にビックリしてくれるわけですね
また、宮崎作品の引用になりますが、「風の谷のナウシカ」で、巨神兵が撃つビームなどがそれにあたります
ビームを撃つアクションそのものは、以外とあっさり描いて、その後の爆発を極端に描く
更にその直後のカットで、それを見ている人達が、距離が離れているにもかかわらず、猛烈な爆風にさらされる。
観客に爆発の皮膚感覚を伝えています
そこにすかさず「なんて威力だ。世界が燃えちまうわけだぜ」(セリフはうろ覚え)という、観客の心情を代弁する台詞でダメ押しをかける。
さすが、宮崎さんだなぁ・・という感じですよね(w
まぁ、このパターンはもう様式美として確立しているので、ちょっとアニメを見ていれば、そこかしこに出てきます。
更に余談になりますが
アニメーターとしての立場で、それを頑張って「やろう」としていた時期が、僕にも昔、有りました(w
「OVA エメラルダス」の、小型戦闘艇の攻撃と、エメラルダスがコスモドラグーンを撃って、撃墜するくだりの原画がそれにあたります。
また、ゲームの「バトルヒート」のオープニングでの、鉄球で岩を砕いたり、ビームで谷が崩れたり・・という原画もそうです。
そういう意識でこれらをみると「ああ、そういう意図でこうしているのか!」と、解って貰えるのではないかと思います(w
励みになります もしこの記事が面白かったら
押してやって下さい
↓
本編を見ていなくて恐縮なのですが、アクションの周りで起こっている出来事を描くことの重要性、非常に納得できる記事でした。
バイクが倒れるほどの風となると、相当強い風なはずですよね。
中型バイクなら約150kg、大型なら約200kg。
原付でさえも、かなり大きい大人1人分は確実にありますし・・・
自分が見たアニメの中で、そういった演出で「おおっ」と思ったのはエヴァンゲリオンの一話、初号機が初めて一歩を踏み出した時でした。
歩け、とシンジが念じて、ゆっくりと、ぎこちない一歩を踏み出す初号機。
次のカットでカメラが、大地を踏みしめる初号機の足元を拾うんだけど、その画面の中にある、道端の電話ボックスのガラスに、振動で「ビシッ」とヒビが入る。
電話ボックスが振動で割れるなんていう体験は、日常ではなかなかないだけに、説得力があると同時にインパクトもあるシーンでした。
漫画チックに、ガラスが砕け散ってバラバラにならないところも衝撃的でした
確かに、こういった演出ってかなりありますね・・・w
そういうのを、意識して追いかけていくのも、アニメを見る楽しさの一つであると思いました。
なんだか、記事を見るにつれて、うた∽かたをどんどん見たくなってきている感じですw